降格転職から1年、答え合わせ|年収・人間関係・そして妻の入院で分かったこと

サイドFIRE設計図

1年前、私は係長から一般職になりました。自分で選んだ、降格を伴う転職です。

1年経った今、結論から書きます。あの選択は正解でした。前の会社に戻りたいとは、まったく思いません。

ただし、この1年がずっと順調だったかというと、まったく違います。正直に言えば、しんどい時期のほうが長かった。そして今も、不安が消えたわけではありません。

この記事では、降格転職から1年経った私が、年収がどうなったか、何がいちばんきつかったか、それでもなぜ「正解だった」と言えるのかを、きれいごと抜きで書きます。転職を「リスクだ」と迷っている人にとって、一つのケースになれば嬉しいです。

こんな人に読んでほしい

  • 転職を考えているが、役職や年収が下がることが怖い人
  • 「転職はリスク」という言葉に迷わされている人
  • 子育て中で、働き方の柔軟さを重視したいと考えている人
  • FIREや資産形成のために、収入と時間の設計を見直したい人

この記事でわかること

  • 降格転職して1年、いちばんきつかったこと(年収ではありませんでした)
  • 年収は結局どうなったのか
  • 1年後に「正解だった」と言える理由
  • 妻の入院で証明された「働き方の自由」という資産の価値

降格転職でいちばんきつかったのは、年収でも役職でもなく「人間関係」だった

先に、この1年でいちばんきつかったことを書きます。

人間関係を、ゼロから作り直すことでした。

転職とは、それまで積み上げてきた信頼残高がリセットされることでもあります。前の職場では、多少雑に説明しても意図を汲んでもらえたし、「あの人が言うなら」で通る場面もありました。それは役職のおかげというより、何年もかけて溜めてきた信頼のおかげだったのだと、失って初めて分かりました。

しかも、新卒ではありません。誰かが手取り足取り教えてくれる立場でもなければ、失敗を「若いから」で許してもらえる立場でもない。自分の足で動いて、成果で信頼を稼いでいくしかない。この1年、それがとにかくきつかったです。

そして正直に書きますが、今も自分が信頼を作れているのか、よく分かりません。手応えがある日もあれば、まだ何も築けていない気がする日もあります。

加えて、周りのレベルが高い。これは転職先を選ぶうえでは望んでいたことなのですが、実際に中に入るとついていくのに必死です。学べる環境であることと、そこで消耗しないことは別問題でした。

「転職のリスク」と聞くと、多くの人は年収や役職を思い浮かべると思います。でも私が実際に払った代償は、信頼のリセットでした。ここは覚悟しておいたほうがいいです。

降格転職で年収は結局どうなったのか

次に、みんなが気になるお金の話です。

「係長から一般職」と聞くと、年収は大きく下がったと思われるかもしれません。実際、転職直後は少し悔しい思いをしました。

というのも、私が辞めたあと、前の会社がベースアップで1万円ほど昇給していたのです。つまり、そのまま残っていれば上がっていたはずの分と比べると、転職直後の私は実質で月5千円ほどマイナスという状態でした。

大きな金額ではありません。でも「あのまま残っていれば」と考えてしまう程度には、じわりと効いてくる数字でした。

ただ、1年経った今の状況はこうです。(2026年7月現在)

時期状況
転職直後前職のベースアップ分と比べて、実質 月5千円ほどマイナス
1年後(4月)ベースアップ+定期昇給で 月2万円アップ
待遇食事補助あり(実質的な手取りの底上げ)
トータルプラスになっていると考えている

つまり、降格転職=年収ダウンで終わり、ではなかったということです。会社の制度で毎年上がる仕組みがあり、食事補助のような目に見えにくい待遇も効いてきます。

そして何より、私はまだ入社1年です。ここからスキルと実績を積めば、昇給の機会はまだまだあります。スタート地点が下がったとしても、伸びしろのある場所に立てているなら、数年単位で見たときの絵はまったく変わってきます。

それでも「正解だった」と言える理由

1年経って、私ははっきり「正解だった」と思っています。理由はシンプルで、前の会社に戻りたいと、まったく思わないからです。

これを一番実感したのは、ふとした瞬間でした。

前の職場の人の名前と顔を、忘れつつあるんです。

書いていて少し薄情かなとも思うのですが、これが私の本音です。あれだけ長い時間を過ごした場所なのに、今の生活に必要ないから、記憶が自然と薄れていく。未練があれば、こうはならないはずです。

もし選択を間違えていたら、私はきっと今も前の職場と比べ続けていたと思います。「あのときの給料は」「あの役職のままだったら」と。でも実際には、比べる対象そのものが薄れていきました。それが、私にとっての答え合わせでした。

決定打は、妻が2週間入院した日々だった

そして、この転職の価値を決定的に思い知った出来事があります。

妻が2週間入院しました。

共働きの我が家は、二人でギリギリ回っていました。その片輪が突然外れて、仕事をしながら子ども2人の生活を回すことになったのです。母に来てもらいましたが、母は車の運転ができず、保育園の送迎も買い物も、結局すべて私に残りました。

このとき、私を救ったのは役職でも年収でもありませんでした。働き方の自由です。

職場に事情を伝えたとき、上司からは「無理に来なくていい」と言ってもらえました。先輩たちからも「家族を優先していい場面だよ」と言われました。在宅で対応できたから、保育園の送迎に抜けられた。子どもが発熱したという電話にも、すぐ動けた。

もし、これが許されない職場だったら。想像するだけでぞっとします。

係長という肩書きは、あの2週間、何の役にも立ちませんでした。私の家族を守ったのは、「家族を優先していい」と言ってくれる環境と、在宅で働ける自由でした。転職のときに私が本当に手に入れていたのは、これだったのだと1年後に分かったのです。

この2週間で何が起きて、私が何を考えていたかは、別の記事に正直に書いています。

妻が2週間入院して気づいた、時間とお金の「余白」の本当の価値

転職で本当に見るべきもの

1年経った今、転職で見るべきだと思うポイントを3つにまとめます。

  • 年収や役職は「今の数字」でしかない — 制度による昇給、福利厚生、伸びしろまで含めて見る。スタートが下がっても、上がる仕組みのある場所なら数年で逆転しうる
  • 「働き方の自由」は非常時にしか価値が分からない資産 — 平時は気づけません。でも家族の危機に、それは肩書きより確実にあなたを助けます
  • 信頼のリセットという代償は、必ず払う — ここは覚悟が要ります。年収より重い代償かもしれません。その代わり、何を得るのかを明確にしておくこと

以前の記事にも書きましたが、大事なのは「なぜ転職するのか」を自分の言葉で持っておくことです。それが曖昧なままだと、代償だけが目について続かなくなります。

転職活動がうまくいかないのは「なぜ転職するか」が曖昧だから|20社落ちた私が内定を取れた理由

また、降格を選んだ当時に私が何を考えていたかは、こちらに書いています。1年後の答え合わせと読み比べると、判断が変わっていない部分がよく分かります。

転職で降格しても後悔しない理由|係長から一般職になって気づいた本当のキャリアリスク

これからの1年——収入を増やして、複利に乗せる

最後に、これからの話を書きます。

私はまだ入社1年です。信頼も、実績も、これから積み上げるフェーズにいます。ここでスキルを磨けば、昇給の機会はまだあると思っています。

そして私は、増やした収入を投資の複利に乗せることがFIREへの近道だと考えるようになりました。配当を年1万円増やすために必要な元本を計算すると、途方もない金額が必要になります。それなら、入口である収入そのものを太くして、それをインデックスの複利に乗せるほうが早い。

この考えに至った経緯は、投資の方針転換を書いた記事に詳しくまとめています。

高配当株からインデックス重視に方針転換した話|2児パパが自分のポートフォリオを見て気づいたこと

転職も、投資も、目的は同じです。家族との時間と、いざというときに動ける自由を手に入れること。この1年で、その確信が強くなりました。

よくある質問

Q. 降格転職して、年収は下がりませんでしたか?

A. 転職直後は、前の会社がベースアップで1万円ほど昇給したこともあり、実質で月5千円ほどマイナスでした。ただ1年後の今は、ベースアップと定期昇給で月2万円上がり、食事補助もあるのでトータルではプラスになっていると考えています。

Q. 転職でいちばんきつかったことは何ですか?

A. 人間関係のリセットです。新卒ではないので、自分の足で動いて信頼を稼ぐしかありません。正直、今も信頼を作れているか分からず、そこは現在進行形の課題です。

Q. 前の会社に戻りたいと思うことはありますか?

A. まったくありません。むしろ前の職場の人の名前と顔を忘れつつあるくらいです。未練があれば、こうはならないと思います。

Q. 転職して良かったと一番感じたのはいつですか?

A. 妻が2週間入院したときです。上司から「無理に来なくていい」、先輩から「家族を優先していい場面だよ」と言ってもらえて、在宅で対応できました。肩書きでは守れないものを、働き方の自由が守ってくれました。

まとめ:肩書きは家族を守らない。守るのは「動ける自由」だった

係長から一般職へ。数字だけ見れば降格で、周りからは「もったいない」と言われる選択でした。

1年経って言えるのは、あれは正解だったということです。転職直後は前職のベースアップに負けて実質月5千円マイナスでしたが、1年後にはベースアップと定期昇給でトータルではプラスに。何より前の会社に戻りたいと思わない。人の名前と顔を忘れていくほどに、未練がありません。

一方で、代償もありました。信頼のリセットは、想像以上にきつかった。今も自分が信頼を築けているのか分からない不安を抱えています。それでも、その代償を払って手に入れたものの価値は、妻の入院という非常時にはっきり証明されました。

肩書きは、家族を守ってくれません。守ってくれたのは、「家族を優先していい」と言える環境と、いざというときに動ける自由でした。

もし今、あなたが転職を「リスク」だと迷っているなら。数字で測れないものが、人生のどこかで効いてくる場面があるかもしれません。少なくとも私にとっては、そうでした。

この記事のチェックリスト

  • □ 転職の目的(なぜ転職するのか)を自分の言葉で説明できる
  • □ 年収は「今の数字」だけでなく、昇給制度・福利厚生・伸びしろまで見た
  • □ 家族の緊急時に動ける働き方かどうかを確認した
  • □ 人間関係のリセットという代償を覚悟したうえで、得るものを明確にした
  • □ 増えた収入をどう活かすか(貯蓄・投資)まで設計した

※本記事は個人の体験に基づくものです。待遇や制度、職場環境は会社によって大きく異なりますので、あくまで一つのケースとして読んでいただけたら嬉しいです。

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