朝、スマホを開いたら妻からLINEが来ていました。
やらかした。歯石除去は保険対象外じゃん
2026年9月16日の朝です。おやすみモードにしていたので、通知に気づいたのは起きてからでした。
「だから保険は入らなくていいって、ずっと言ってたのに」——そう返そうとして、打つのをやめました。無言でスマホを閉じました。
我が家は5歳のトイプードルを飼っています。2020年からアイペットのペット保険に入っていて、更新のたびに保険料が上がるので、2026年8月に解約しました。その直後に妻が別の保険を探してきて、入り直したところです。
理由は歯石除去でした。口が臭くて病院に連れて行ったら、歯石が溜まっていると言われたからです。
この記事では、我が家が6年間で実際に使った治療費27万円の全記録と、それでもなお「入っていたほうが得だった」と言い切れない理由を書きます。妻の計算のどこがずれていたのか、そして私自身の何が足りなかったのかも、正直に書きます。
保険を損得で考えるという意味では、以前に書いた貯蓄型保険を元本割れで解約した理由|保険と投資を分けたら両方うまくいった話と同じ話です。ただ今回は、私のほうが詰めきれていませんでした。
こんな人に読んでほしい
- ペット保険の更新で保険料が上がり、続けるか迷っている方
- 「保険に入るより貯金でいい」と思っているが、家族を説得できていない方
- ペット保険に入っているのに、ここ数年ほとんど使っていない方
- これから犬や猫を迎えるところで、保険に入るか決めかねている方
この記事でわかること
- 6年間で実際にかかった治療費と、その年ごとの内訳(実データ)
- 「保険料 + 3割負担」で得か損かを計算するときに、多くの人が抜かす項目
- 歯石除去がペット保険の対象外になる理由と、加入前に読むべき1行
- 「若いときと年を取ってからだけ入る」が成り立たない理由
- 保険をやめて貯金で備える場合に、我が家が決めた金額
「やらかした。歯石除去は保険対象外じゃん」——朝のLINEで知りました
その日の朝、私は何も聞かされていませんでした。
妻が新しいペット保険を申し込んだのは前日、2026年9月15日です。申し込んだこと自体を、私はこのLINEで初めて知りました。
正直に書きます。最初に浮かんだのは心配ではなく、「ほら見たことか」という気持ちでした。
我が家はもともと、私が「保険をやめて貯金しよう」と言って解約したところでした。そこに妻が別の保険を入れ直し、しかも入った直後に目的だった歯石除去が使えないと分かった。余計なお金を払うだけです。
それでも返信を打たなかったのは、言っても状況が変わらないからです。言えばただ勝ち誇るだけになる。 その日の夜に「余計なお金払うだけやん」とだけ言って、話は終わりました。
今は、どうするかを妻に考えてもらっています。私が全部決めてしまうと、また同じことが起きる気がしたからです。
6年分の治療費を全部並べたら、9割が最初の2年に集中していた
感情の話をしても仕方がないので、数字を出します。
アイペットのマイページに、2020年から2026年までの治療費の記録が全部残っていました。19件、合計272,573円です。我が家の補償割合は70%でした。
| 年 | 治療費 | 件数 |
|---|---|---|
| 2020年 | 3,465円 | 1件 |
| 2021年 | 245,708円 | 10件 |
| 2022年 | 3,557円 | 2件 |
| 2023年 | 2,772円 | 1件 |
| 2024年 | 12,220円 | 3件 |
| 2025年 | 3,696円 | 1件 |
| 2026年 | 1,155円 | 1件 |
| 合計 | 272,573円 | 19件 |
こうして並べると一目でわかります。2021年だけで全体の90%です。
一番大きいのは2021年5月24日の196,277円で、これはレッグ・カルベ・ペルテス病の手術でした。後ろ足の骨の病気で、歩き方がおかしくなり、手術をしました。このときは補償の70%、約137,394円が戻っている計算になります。
保険に入っていてよかったと、心から思った出来事です。ここは否定しません。
問題はそのあとです。2022年1月から2026年7月までの4年7か月で、治療費は合計23,400円しかありません。 戻ってきた保険金は約16,380円です。
その間、保険料は払い続けています。
2025年の1年だけを切り取ると
2020年から2025年までの保険料の推移は、正確には分かりません。更新のお知らせはハガキで届いていたのですが、捨ててしまいました。 記録が残っているのは2025年の年50,160円だけです。
分からないものは分からないと書きます。ただ、その1年だけでも十分に厳しい数字です。
| 2025年 | 金額 |
|---|---|
| 払った保険料 | 50,160円 |
| かかった治療費 | 3,696円 |
| 戻ってきた保険金(70%) | 約2,587円 |
| 差し引き | 約47,573円のマイナス |
この年の保険は、約4万7千円分の「安心」を買っただけでした。それが悪いとは思いません。ただ、それが安心の値段だと自覚して買っていたかというと、我が家はしていませんでした。
そして2026年の更新で保険料がさらに上がると知って、私は解約を決めました。
妻の計算は間違っていなかった。ただ、保険料を1円も足していなかった
解約を決めたのは私です。「保険料が高くなるからやめよう」と言いました。
妻は解約には賛成しました。ただし「別の保険に入ろう」と言いました。貯金で備えるという私の案には、最後まで納得していませんでした。
そこに歯石除去の話が重なります。口臭が気になって病院で見てもらい、歯石が溜まっていると指摘されました。見積もりは麻酔込みで約7万円です(術後の検査や通院は別)。
妻の計算はこうでした。
年間の保険料と、治療費の3割負担の合計が、7万円より安いなら入ったほうが得
考え方としては筋が通っています。実際に計算してみます。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 歯石除去を全額自己負担 | 70,000円 |
| 3割負担(70%補償の場合) | 21,000円 |
| アイペット水準の保険料(2025年実績) | 50,160円 |
| 保険に入った場合の合計 | 71,160円 |
保険を使っても1,160円高いという結果でした。
これは意地悪な計算ではありません。保険料を1円も足さずに「3割負担で済むから得」と考えると、判断を間違えます。 我が家はまさにその形でした。
新しく入った楽天ペット保険の保険料は31,330円で、補償割合は70%です。
歯石除去が対象外だということは、書面に最初から書いてありました
そして、この計算自体が無意味でした。歯石除去は補償の対象ではなかったからです。
妻が送ってきた重要事項説明書には、「治療費用に含まれない主な処置・疾病・費用等」として、こう書かれていました。
歯石除去費用および乳歯遺残、不正咬合
同じ欄には、去勢・避妊、健康診断、ワクチン接種、爪切り、マイクロチップ、診断書の作成費用なども並んでいます。
つまり、申し込む前にこの1行を読んでいれば、防げた話でした。
一般的には、歯周病などの治療のために行う歯石除去は補償の対象で、予防や美容が目的のものは対象外という会社が多いようです。ただし会社によっては、歯科そのものを補償の対象外にしているところもあります。
我が家が入ったところは、歯石除去費用と名指しで書かれていました。
私にも非があります
ここが、この記事で一番書きにくい部分です。
私は「保険はいらない、その分を貯金しておけばいざというとき慌てなくていい」と、前から言っていました。それ自体は今も間違っていないと思っています。
ただ、私は歯石除去が保険の対象外だということを知りませんでした。
もし知っていたら、話はまったく変わっていました。「歯石除去のために入るなら、その保険では意味がないよ」と、その場で数字と書面を出して言えたはずです。そうすれば妻も納得したと思います。
私がやっていたのは、方針を言うことだけでした。調べて、根拠を出して、相手が判断できる形にするところまではやっていませんでした。 反対だけして調べない人の意見は、家庭では通りません。
「若いときと年を取ってからだけ入る」は、思ったほど簡単ではない
この6年分のデータを見て、私はこう考えました。
お金がかかったのは、迎えたばかりの時期です。そして義実家の犬を見ていると、年を取ってからもかかります。真ん中の数年は、ほとんど使っていません。
だったら、子犬のうちと、シニアになってからだけ保険に入ればいいのではないか。
調べてみて、これは無理があると分かりました。ペット保険には新規で加入できる年齢の上限があります。 会社によりますが、おおむね8歳から12歳くらいまでです。シニア向けの商品もありますが、通院が補償されず入院と手術だけ、という形もあります。
さらに、加入前からある病気(既往症)は補償の対象から外れるのが一般的です。年を取ってから「そろそろ危ないから入ろう」と思ったときには、すでに持病があって、その部分だけ対象外になる可能性が高いということです。
つまり、こういうことになります。
| タイミング | 保険に入れるか | 実感 |
|---|---|---|
| 子犬・子猫のとき | 入れる。保険料も安い | 実際、我が家はここで元を取った |
| 2〜7歳ごろ | 入れる。ただし使う機会が少ない | 我が家は4年7か月で23,400円だけ |
| 8歳以降 | 入れる会社が限られる。持病があると対象外も | 義実家の犬は月2万円かかっている |
表にして気づいたのは、「使わない真ん中の時期に解約する」という判断は、実質的に「もう二度と入らない」という判断に近いということでした。
私は5歳で解約しました。今回は妻が入り直したので結果的に契約は続いていますが、もしあのまま入らずにいたら、この先どこかで入り直すのは難しくなっていたはずです。
自分が下した判断の意味を、私は正確には分かっていませんでした。
義実家の犬は月2万円かかっている——我が家の結論が当てはまらない家
妻が実家で歯石除去の話をしたとき、義両親からこう言われたそうです。
保険には入っておきなさい
義実家もトイプードルを飼っています。14歳です。病名は聞いていませんが、治療費が毎月2万円かかっていると聞きました。
私は最初、この話を「うちとは事情が違う」で片づけようとしました。でも、計算するとそうではありませんでした。
| 項目 | 義実家のケース(月2万円) |
|---|---|
| 年間の治療費 | 240,000円 |
| 70%補償なら戻る額 | 168,000円 |
| 年間の保険料(5万円と仮定) | 50,000円 |
| 差し引き | 約118,000円のプラス |
保険に入っているほうが、はっきり得です。
我が家の結論は「うちは使わなかったので損だった」というだけの話で、全部の家に当てはまるものではありません。 月2万円かかる家では、保険は正解です。
ここを書かずに「ペット保険はいらない」とだけ書くのは、フェアではないと思いました。
違いは犬の状態です。そして厄介なのは、その状態は加入を決める時点では分からないということです。分からないものに備えるのが保険なので、当たり前ではあります。
我が家がこれからやること——月5万円を、触らない通帳へ
現時点で決めていることを書きます。
まず、入ってしまった楽天ペット保険は1年だけ続けます。 保険期間が1年の契約はクーリングオフの対象外で、途中でやめても払戻金がでない、という扱いになるためです。
そのうえで、歯石除去についてはもう一段だけ粘ります。単なる予防ではなく、歯周病の治療として認められないかを、動物病院と保険会社の両方に相談します。口臭があって受診し、獣医師に歯石を指摘されている状態だからです。
認められるかどうかは、まだ分かりません。書面に「歯石除去費用」と名指しで書かれている以上、厳しいと思っています。
歯石除去そのものは、2026年11月ごろに実施する予定です。
そして、保険をやめて貯金で備える場合の金額も決めました。基本的に触らない通帳に、月5万円です。
年間60万円です。保険料の年5万円よりずっと多い金額を入れることになりますが、これは「保険の代わり」ではありません。ペットの医療費だけでなく、家族の急な出費を引き受ける口座として置いておくものです。
保険で備えるか、現金で備えるか。我が家は現金を選びましたが、選んだ以上は実際に入金し続けないと、ただの無保険になります。 ここは正直、まだ実行できていません。
よくある質問
Q. 高額な治療になったら、貯金では足りなくて破産するのでは?
A. 私の考えでは、それだけで破産するような家計なら、そもそもペットを迎えないほうがいいと思っています。厳しい言い方に聞こえるかもしれませんが、生き物を飼うというのはそういうことだと考えています。ただし、我が家も2021年に約20万円の手術を経験しているので、この金額をいつでも出せる状態にしておくのが前提です。
Q. 保険は安心を買うものなので、損得で語るのはおかしくないですか?
A. その通りだと思います。安心を買うために払っているのだと自覚しているなら、それは浪費ではなく納得した支出です。個人の自由だと思っています。我が家の問題は、安心の値段を計算しないまま払い続けていたことでした。2025年は約4万7千円でした。
Q. 結局、奥さんの言い分のほうが正しかったのでは?
A. 実績を数字で並べれば分かる、というのが私の答えです。ただし現時点で、私のほうが正しかったとも言い切れません。 うちの犬がこの先大きな病気をすれば、入り直した妻の判断が正解になります。この記事は「保険は損だった」という証明ではなく、6年分の実績をそのまま出したものです。
Q. 歯石除去は、どの保険でも対象外なのでしょうか?
A. 会社によって違います。歯周病などの治療の一環で行う歯石除去は補償されるが、予防目的は対象外、という会社が多いようです。一方で、歯科治療そのものを補償の対象外にしている会社もあります。我が家が入ったところは、重要事項説明書に「歯石除去費用」と明記されていました。加入前に、その1行を必ず確認してください。
Q. 保険をやめたあと、また入り直せますか?
A. 我が家は5歳だったので入り直せました。ただし新規で加入できる年齢は8歳から12歳くらいまでの会社が多く、加入前からある病気は補償の対象外になるのが一般的です。「年を取って必要になってから入る」は、思っているほど簡単ではないと考えたほうがいいです。
Q. この記事を読んで、保険をやめても大丈夫ですか?
A. そこまでは保証できません。うちの犬はこれまで健康でしたが、それはただの結果論です。私自身、月5万円の積立を続けられるかどうか、まだ分かりません。やめるという判断は、その金額を自分で用意し続けるという約束とセットです。
まとめ:損得を決めるのは、保険ではなく飼っている犬の状態でした
朝のLINEに、私は返信しませんでした。
言いたいことはありました。でも、書面を読んでいなかった点では、私も同じでした。方針を言うだけで、調べなかったからです。
分かったことを整理します。
- 6年間で使った治療費は272,573円。そのうち90%が最初の2年に集中していた
- 直近4年7か月で使ったのは23,400円だけ。2025年は保険料50,160円に対し治療費3,696円だった
- 「保険料 + 3割負担」で計算すると、歯石除去7万円は保険を使っても71,160円で、得にならなかった
- そもそも歯石除去は補償の対象外で、そのことは重要事項説明書に明記されていた
- 使わない時期に解約するのは、年齢制限と既往症のせいで「もう入らない」に近い判断になる
- 治療費が月2万円かかる義実家の犬なら、保険のほうが年11万円ほど得になる
最後にもう一段だけ本音を書きます。私が引っかかっているのは、保険料そのものより、探して、申し込んで、対象外だと知って、また考え直すという一連の手間のほうです。お金より時間のほうが取り返せません。
もし今、ペット保険の更新で迷っているなら、明日ひとつだけやってください。契約中の保険の重要事項説明書を開いて、「補償の対象外」の欄を最後まで読むことです。
自分が使いたい治療がそこに載っていないか。それを確かめるのに、5分もかかりません。我が家はそれを、6年間やっていませんでした。
この記事のチェックリスト
- □ 重要事項説明書の「補償の対象外」の欄を最後まで読んだ
- □ 使いたい治療(歯石除去など)が対象かどうかを、加入前に保険会社に確認した
- □ 契約から何日後に補償が始まるか(待機期間)を確認した
- □ 過去にかかった治療費を、年ごとに書き出した
- □ 払った保険料の総額と、戻ってきた保険金の総額を比べた
- □ 「保険料 + 自己負担」の合計で、全額自己負担の場合と比較した
- □ 保険をやめる場合、その代わりに毎月いくら貯めるかを決めた
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※本記事は個人の体験を綴ったものです。保険の補償内容や加入条件は商品・時期によって異なりますので、必ずご自身で重要事項説明書と約款をご確認ください。

