転職して最初に感じたのは、放置されているという感覚でした。
新卒のときのような研修はありません。誰かがついて教えてくれるわけでもない。分からないことがあっても、聞く相手が分からない。
そして周りを見ると、全員が自分よりレベルが高く見えました。
このまま黙って座っていたら、たぶん詰んでいたと思います。この記事では、そこから自分の足で社内人脈を作った話を書きます。
なお、転職そのものの結果については別の記事にまとめています。いちばんきつかったのは年収でも役職でもなく、人間関係のリセットでした。
降格転職から1年、答え合わせ|年収・人間関係・そして妻の入院で分かったこと
こんな人に読んでほしい
- 転職したばかりで、社内で孤立していると感じている方
- これから転職する予定で、入社後の動き方が不安な方
- 中途採用者を受け入れる側の方
この記事でわかること
- 転職者が放置されるのは、なぜ「当たり前」なのか
- 待っていると何が起きるか
- 社内人脈を作るために私が実際にやったこと
- 事業所が違う相手にどうアプローチしたか
- 顔を覚えてもらうまでにかかった回数
①放置されるのは、当たり前だった
最初は「冷たい会社だな」と思っていました。でも、途中で気づきました。
中途採用は、即戦力として採られているからです。
新卒なら、育てる前提で採用されます。教育のスケジュールがあり、担当者がつき、周囲も「教える相手」として認識しています。
でも中途は違います。すでにできる人として採られているので、そもそも「教える」という工程が想定されていません。
さらに、受け入れる側にも事情があります。みんな自分の仕事で手一杯で、誰も悪気なく、ただ忙しい。「困っていたら聞いてくるだろう」と思われている。
つまり放置は、冷遇ではなく、構造でした。
ここに気づいてから、考え方が変わりました。待っていても状況は変わらない、と。
②具体的に、何に困ったか
とはいえ、構造だと分かっても困りごとは消えません。私が実際に詰まったのは、この3つでした。
誰に聞けばいいか分からない
これがいちばん大きかったです。
仕事の内容自体は、前職の経験がある程度使えます。でも社内の誰が何を担当しているかは、経験では分かりません。
問題が起きたとき、必要なのは「解決策」ではなく「この件は誰に聞けばいいか」でした。そしてそれは、社内に人脈がないと分からない情報です。
周りが全員レベル高く見える
自分だけが何も知らない状態なので、当然そう見えます。
冷静に考えれば、みんなその会社に長くいるだけなのですが、当時はそう思えませんでした。知らないことを聞くのが、少し怖くなるという状態です。
聞くこと自体のハードルが上がっていく
そして時間が経つほど、聞きにくくなります。「今さらこれを聞くのは」という気持ちが出てくる。
放置されている状態を放っておくと、状況は勝手に悪化します。
③待っていると、同じ部署の中でも見放される
ここは正直に書いておきます。
黙って自分の席で仕事をしていると、周囲からは「動いていない人」に見えます。
こちらとしては、分からないなりに手を動かしているつもりです。でも外からは、進捗が出ていない理由が「社内が分からないから」なのか「能力の問題」なのか、判別がつきません。
そして、そのうち期待されなくなります。
同じ部署の人ですら、だんだん話を振ってこなくなる。仕事を任されなくなる。これが一番怖いと思いました。
放置されているうちはまだいい。見放されると、戻すのに時間がかかります。
④私が実際にやったこと
そこで、動くことにしました。やったことは、驚くほど単純です。
1. まず課長に、手当たり次第に自己紹介した
聞きたいことがある部署を洗い出して、その部署の課長のところに、片っ端から自己紹介に行きました。
なぜ担当者ではなく課長からなのか。理由は2つあります。
担当者が誰か分からないからです。そもそも「誰に聞けばいいか分からない」のが最初の問題なので、担当者を指名して訪ねることができません。
そして課長は、部署の中の誰が何をしているかを把握しているからです。「こういうことで困っています」と伝えると、「それなら○○さんだね」と教えてもらえます。
2. 教えてもらった担当者に、あらためて挨拶に行く
課長に紹介してもらった担当者のところへ、今度は自分で行きます。
このとき、課長経由で来ているという事実が効きます。いきなり知らない人が訪ねてくるより、話がスムーズでした。
そこから、実務の細かいところを教えてもらう関係ができていきます。
3. 事業所が違う相手には、メール → Teams
相手によっては、事業所そのものが違いました。会いに行けません。
この場合はこうしました。
まずメールを送る。そのうえで、都合が合えばTeamsで電話をする。
文章だけだと細かいニュアンスが伝わりませんし、何より声で話すと相手の記憶に残ります。5分でも通話しておくと、次のメールの返信速度が変わりました。
4. 誰に聞けばいいかすら分からないときは、ペアの人に聞く
私には、同じ課でペアを組んでもらっている人がいました。
「これ、どこの部署の話か分かりますか」——まずこの人に聞いてから、動きました。
いきなり全社を手当たり次第に回るのは効率が悪いです。社内に1人、道案内をしてくれる人を確保する。 ここが起点になりました。
⑤3回目くらいから、空気が変わった
やってみて分かった体感値があります。
3回目くらいから、顔を覚えてもらえました。
1回目は自己紹介で終わります。2回目は「そういえば前に来た人だ」くらい。3回目あたりで、ようやく「あの人」として認識してもらえた感覚がありました。
そこから先は、明らかに変わりました。
- 質問への返答が早くなる
- こちらが聞く前に情報を教えてくれる
- 廊下で会ったときに向こうから声をかけてくれる
そして気づいたのは、動いたら、みんな普通に助けてくれたということです。
放置されていたのは、冷たくされていたからではありませんでした。単に、こちらから行っていなかっただけでした。
⑥ただし、これで「信頼を得た」わけではありません
ここは誤解のないように書いておきます。
顔を覚えてもらうことと、信頼されることはまったく別の話でした。
3回会えば、名前と顔は一致します。質問にも答えてもらえます。でもそれは「話しかけていい人」になっただけで、「この人に任せよう」と思ってもらえたわけではありません。
別の記事にも書きましたが、私は今も、自分が社内で信頼を築けているのか分かっていません。手応えがある日もあれば、まだ何も積み上がっていない気がする日もあります。
転職で失った信頼残高は、成果を出して少しずつ稼ぎ直すしかないものです。人脈づくりは、その土俵に立つための入り口にすぎませんでした。
それでも、この入り口を通らないと何も始まりません。誰に聞けばいいか分からないままでは、成果も出せないからです。
⑦転職して最初にやるべきこと
私の経験から言えるのは、この4つです。
- 道案内をしてくれる人を、まず1人確保する(同じ課の人、ペアの人など)
- 関係しそうな部署の課長に、自己紹介して回る(担当者は課長が知っている)
- 紹介された担当者に、自分であらためて挨拶に行く
- 物理的に会えない相手は、メールのあとに5分でも通話する
そして何より、3回は会いに行くこと。1回で諦めると、ただの「一度来た人」で終わります。
「主体的に動きましょう」と言われると精神論に聞こえますが、やることは自己紹介と挨拶だけです。特別な能力は要りません。
よくある質問
Q. 忙しそうな人に話しかけるのが申し訳ないのですが
A. 私もそう思っていました。ただ、分からないまま仕事が止まるほうが、結果的に周囲に迷惑をかけます。実際に行ってみると、迷惑そうにされたことはほとんどありませんでした。
Q. なぜ担当者ではなく課長から行くのですか?
A. 担当者が誰か分からないからです。課長は部署の中の役割分担を把握しているので、「誰に聞けばいいか」を教えてもらえる相手として最適でした。結果的に遠回りに見えて近道です。
Q. 事業所が離れていて会えない相手はどうすれば?
A. メールで用件を伝えたうえで、都合が合えば短くても通話することをおすすめします。声を交わした相手とそうでない相手では、その後のやり取りのしやすさが変わります。
Q. 転職して何ヶ月まで放置は続きますか?
A. 待っていると続きます。私の感覚では、動き始めてから3回会うまでが最初の山でした。期間というより、行動量の問題だと思っています。
Q. 人見知りなので、これができる自信がありません
A. 私も得意ではありませんでした。ただやることは自己紹介と挨拶だけで、雑談力や愛想の良さは必要ありませんでした。「こういうことで困っているので、担当の方を教えてください」——用件がはっきりしているぶん、むしろ話しやすかったです。
Q. これをやれば、社内で認められますか?
A. そこまでは保証できません。私自身、1年経った今も信頼を築けているか分からない状態です。人脈づくりで得られるのは「聞ける相手ができる」ことまでで、評価は結局そのあとの成果次第だと思っています。
まとめ:放置は構造、見放されるのは自分の責任
転職して最初にぶつかったのは、仕事の難しさではなく社内で孤立することの怖さでした。
分かったことを整理します。
- 中途は即戦力採用なので、教えられないのが前提。放置は冷遇ではなく構造
- 待っていると、同じ部署の中でも期待されなくなる。ここまで行くと戻すのが大変
- まず課長に自己紹介し、担当者を教えてもらう。誰に聞けばいいか分からない問題への最短ルート
- 会えない相手には、メールのあとに通話する
- 3回会えば、顔を覚えてもらえる
- ただし、顔を覚えてもらうことと信頼されることは別。そこから先は成果で稼ぐしかない
そして最後にもうひとつ。自分から動いたら、みんな普通に助けてくれました。
放置されていると感じていた期間、私は誰かが来てくれるのを待っていました。でも来ないのが当たり前だった。動き始めた瞬間から、状況は変わりました。
もし今、転職したばかりで孤立感があるなら、明日いちばん困っている件について、その部署の課長に自己紹介しに行ってみてください。 そこから始まると思います。
この記事のチェックリスト
- □ 社内で道案内をしてくれる人を1人見つけた
- □ 関係しそうな部署を洗い出した
- □ その部署の課長に自己紹介した
- □ 紹介された担当者に、自分から挨拶に行った
- □ 会えない相手とは、メールのあとに通話した
- □ 同じ相手に3回は会った
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※本記事は個人の経験に基づくものです。職場の文化や体制によって適切な動き方は異なります。


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