「ランニングコストを抑えられるので、つけたほうが生活費の節約になると思います」
新築で導入を決めるとき、そう言われました。我が家はソーラーパネルと蓄電池に約150万円を払いました。
住み始めて約1年9ヶ月。中部電力の会員ページで、12ヶ月分の電気代と売電額を全部並べてみました。
売電は年54,432円。電気代は年149,106円。
そして計算して分かったのは、保証が切れる10年で元を取るには、毎月の電気代まるごと1ヶ月分くらいを浮かせ続ける必要があるということでした。
この記事では、業者のシミュレーションではなく、実際に住んでいる家の12ヶ月分の数字をそのまま出します。最後に書きますが、もう一度建てるなら、私はたぶん付けません。
ソーラーと蓄電池の費用は住宅ローンに入れています。そのローン全体の話は住宅ローン残高6737万円。純資産がマイナスになる分岐点を計算してみたに書きました。
こんな人に読んでほしい
- 新築で太陽光パネルや蓄電池を付けるか迷っている方
- 業者のシミュレーションではなく、実際に住んでいる家の数字を見たい方
- すでに付けたけれど、元が取れているのか分からない方
- オール電化やEVとの組み合わせを考えている方
この記事でわかること
- ソーラー約4.8kW+蓄電池の家の、12ヶ月分の電気代と売電額
- 冬と夏で、収支がどれだけ違うか
- 保証10年で元を取るために、毎月いくら必要か
- 「実質100万円」と思っていた補助金の、本当の中身
- もう一度建てるなら付けるかどうか
①我が家の設備と、実際にかかったお金
まず前提を並べます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 入居 | 2024年12月下旬(新築) |
| ソーラーパネル | 約4.8kW(メーカーは把握していません) |
| 蓄電池 | あり |
| 導入費用 | ソーラー+蓄電池で約150万円 |
| 支払い方 | 住宅ローンに組み込み(金利1.15%・40年) |
| 保証 | 10年 |
| 家 | オール電化 |
| 車 | 電気自動車(EV)、自宅に充電設備あり |
| 売電単価 | 1kWhあたり16円 |
正直に書くと、パネルと蓄電池のメーカーを私は把握していません。
150万円を住宅ローンに入れているので、毎月の返済にこの分が乗っています。金利1.15%・40年で計算すると、次のようになります。
| 金額 | |
|---|---|
| 150万円分の月々の返済 | 約3,900円 |
| 40年間の総返済 | 約187万円 |
| うち利息 | 約37万円 |
| 10年後の残り | 約119万円 |
最後の行が、あとで効いてきます。保証が切れる10年後の時点で、この150万円のローンはまだ8割残っています。
②12ヶ月分の電気代と売電を、全部並べます
中部電力の会員ページから、2025年10月〜2026年9月の12ヶ月分を書き写しました。
| 月 | 電気代(買った分) | 売電(売った分) | 差し引き |
|---|---|---|---|
| 2025年10月 | 12,246円 | 4,528円 | 7,718円 |
| 2025年11月 | 12,580円 | 3,392円 | 9,188円 |
| 2025年12月 | 11,236円 | 3,232円 | 8,004円 |
| 2026年1月 | 18,233円 | 2,544円 | 15,689円 |
| 2026年2月 | 15,232円 | 2,112円 | 13,120円 |
| 2026年3月 | 13,060円 | 2,768円 | 10,292円 |
| 2026年4月 | 12,236円 | 6,192円 | 6,044円 |
| 2026年5月 | 10,728円 | 5,568円 | 5,160円 |
| 2026年6月 | 10,064円 | 7,728円 | 2,336円 |
| 2026年7月 | 10,497円 | 5,184円 | 5,313円 |
| 2026年8月 | 11,980円 | 6,000円 | 5,980円 |
| 2026年9月 | 11,014円 | 5,184円 | 5,830円 |
| 合計 | 149,106円 | 54,432円 | 94,674円 |
12ヶ月で売った電気は3,402kWh。54,432円を割ると、ちょうど1kWhあたり16円です。
差し引きは年94,674円、月にすると約7,890円でした。
この電気代には、車の燃料も入っています
補足しておくと、我が家はEVを自宅で充電しています。つまり上の電気代には、家の電気と車の燃料の両方が入っています。
さらに会社から、ガソリン代相当の交通費が月5,000〜6,000円出ています。EVなのでガソリンは使いません。差し引き月7,890円からこの分を引くと、実質の負担は月2,000〜3,000円ほどになります。
ここだけ見ると、かなりうまくいっているように見えます。ただ、ここには150万円のローン返済が入っていません。
ついでに気づいたこと
電気代の明細を見ていて、もう1つ気づいたことがあります。
再エネ賦課金を、12ヶ月で23,749円払っていました。再エネ賦課金は、固定価格で電気を買い取る制度の原資として、電気を使う全員が払っているものです。
つまり私は、売電で年54,432円を受け取りながら、同じ仕組みに年23,749円を払っていることになります。損得の話ではありませんが、明細に並んでいる数字です。
③冬は、電気をいちばん使う月に発電がいちばん落ちる
並べてみて、いちばんはっきり見えたのがここです。
| 電気代 | 売電 | 差し引き | |
|---|---|---|---|
| いちばん悪い月(2026年1月) | 18,233円 | 2,544円 | 15,689円 |
| いちばん良い月(2026年6月) | 10,064円 | 7,728円 | 2,336円 |
冬は、暖房で電気をいちばん使う月に、日が短くて発電がいちばん落ちます。同じ家で、月の差し引きに1万3千円以上の差がありました。
以前この記事に「夏は売電が伸びるので相殺される」と書いていました。夏についてはその通りでした。でも冬は相殺どころではありません。年間の収支は、冬の3ヶ月でかなり削られています。
売電量は、前の年より少し減っていました
中部電力のページには前年のグラフもあります。読み取れる範囲で比べると、3月〜9月の売電量は前年の約2,600kWhから約2,400kWhへ、約7%減っていました。
5月は約490kWhから348kWhへ、3割近く減っています。
理由は分かりません。天気のせいかもしれないし、昼間に家で使う電気が増えたのかもしれない。発電量を測っていないので、どちらなのか切り分けられないのです。これは次の話につながります。
④保証10年で元を取るには、月12,500円の効果が必要だった
ここからが本題です。
保証期間の10年で150万円を回収するには、単純に割って年15万円、月12,500円の効果が必要です。
我が家の電気代の月平均は12,426円でした。つまり、太陽光と蓄電池が、毎月の電気代まるごと1ヶ月分くらいを浮かせ続けて、やっと保証期間内に元が取れる計算です。
では実際に、その効果のうちどれだけが確認できているか。
| 年間 | 月あたり | |
|---|---|---|
| 10年で回収するのに必要な効果 | 150,000円 | 12,500円 |
| 売電で確認できている分 | 54,432円 | 約4,500円 |
| 残り(自家消費で浮かせる必要がある分) | 約95,600円 | 約8,000円 |
売電で埋まっているのは36%だけでした。
もし売電だけで150万円を回収しようとすると、約28年かかります。ローンの利息まで含めた約187万円なら、約34年です。
そして10年目に、売電の単価も変わります
もう1つ、制度の話を書いておきます。
住宅用の太陽光の固定価格買取は、10年間です。我が家の16円という単価も、10年で終わります。そのあとは、電力会社がその時に決める単価での売電になり、一般的には今より下がると言われています。
保証が切れるのと、売電の単価が変わるのが、ほぼ同じ時期に来ます。そしてその時点で、150万円分のローンはまだ約119万円残っています。
もちろん、10年を過ぎてもパネルは発電を続けるかもしれません。ただ、そこから先は保証の外です。
⑤自家消費でいくら浮いているか、私は測れていません
ここが、この記事でいちばん正直に書かなければいけないところです。
④の表の「残り月8,000円」。これが本当に浮いているのかどうか、私には分かりません。
浮いている額を知るには、「太陽光も蓄電池もなかった場合の電気代」と比べる必要があります。でも、そんな家には住んでいません。そして発電量や自家消費量のデータも、いまの私の手元にはありません。
「節約になっているはず」のまま、1年9ヶ月が経ちました
我が家の蓄電池は、電気が安い夜のうちに充電して、料金が高い昼間にソーラーと一緒に使っています。そうすれば電気代の節約になっているはずです。
でも、この「はず」を数字で確かめる手段が、いまの私にはありません。
営業の人は「つけたほうが生活費の節約になると思います」と言いました。私も、たぶん節約にはなっていると思っています。ただ、それが月8,000円なのか、月3,000円なのかは分からないまま、150万円を払い続けています。
③で売電量が減った理由を切り分けられなかったのも、同じ原因です。測っていないものは、あとから検証できません。
もしこれから付ける方がいたら、発電量と自家消費量を記録できるかどうかを、契約前に確認しておくことを勧めます。それが無いと、我が家のように「はず」から先に進めません。
⑥補助金50万円は、ソーラーの値引きではありませんでした
もう1つ、訂正しなければいけないことがあります。
以前この記事で、「ソーラーと蓄電池の150万円に、国と市から合計約50万円の補助金が出て、実質100万円くらいになった」と書いていました。
これは正確ではありませんでした。
約50万円は、EVを買ったときの補助金です。ソーラーパネルと充電設備があったから申請できた、という関係でした。ソーラーと蓄電池そのものの費用が50万円下がったわけではありません。
ソーラーと蓄電池の費用は、150万円のままです。
もちろん、ソーラーがあったから補助金を受けられた、という見方もできます。ただ、それはEVを買う家に限った話です。「太陽光を付けると補助金で実質100万円」と読める書き方をしていたことは、訂正します。
補助金を調べるときは、何に対して出ている補助金なのかを分けて見てください。車の補助金と設備の補助金が混ざると、私のように計算を間違えます。
⑦もう一度建てるなら、たぶん付けません
最後に、いちばん聞かれそうなことに答えます。
もう一度家を建てるとしたら、ソーラーと蓄電池を付けるか。
たぶん付けません。
正確には、付ける前に「売電の単価」「付ける費用」「ランニングコスト」を並べて、安く済むほうを選びます。そして今の私の数字で計算すると、付けないほうに傾きます。
理由をまとめるとこうです。
- 保証10年で元を取るには月12,500円の効果が必要で、確認できているのは月約4,500円だけ
- 残りの月8,000円が浮いているかを、測る手段を用意していなかった
- 10年後に保証が切れ、売電単価も変わり、ローンはまだ8割残る
- 停電で蓄電池に助けられたことは、1年9ヶ月で一度もない
一方で、付けてよかったこともあります。オール電化にしたことで、ガスの配管工事が要らず、新築時の費用を数十万円抑えられました。ガスの基本料金もかかりません。EVの補助金が受けられたのも、ソーラーがあったからでした。
後悔しているかと聞かれると、後悔とまでは言いません。ただ、今の数字を見たうえで、もう一度同じ選択はしないと思います。
よくある質問
Q. 結局、太陽光と蓄電池は元が取れますか?
A. 我が家の場合、売電だけでは約28年かかります。10年で回収するには、売電とは別に月約8,000円を自家消費で浮かせている必要がありますが、そこは測れていません。「取れる」とも「取れない」とも、私の数字では言い切れないというのが正直な答えです。
Q. 冬の電気代はどれくらいになりますか?
A. 我が家のいちばん高い月は2026年1月の18,233円でした。その月の売電は2,544円で、差し引き15,689円です。いちばん良い6月は差し引き2,336円だったので、同じ家でも季節で大きく変わります。
Q. 蓄電池は停電のときに役立ちましたか?
A. 入居から1年9ヶ月、停電は一度もなかったので、使ったことがありません。停電対策としての価値は、我が家ではまだ確かめられていません。
Q. 補助金はどれくらいもらえますか?
A. 我が家が受けた約50万円は、EV購入に対する補助金でした。ソーラーと充電設備があったから申請できたもので、ソーラーや蓄電池の費用そのものへの補助ではありません。補助金は年度や自治体で大きく変わるので、何に対する補助なのかを分けて確認してください。
Q. オール電化にしてよかったですか?
A. そこは良かったと思っています。ガスの配管工事が不要になり、新築時の費用を数十万円抑えられました。ただしオール電化の良し悪しと、太陽光・蓄電池の良し悪しは別の話です。
Q. これから付ける人に、1つだけ伝えるなら?
A. 発電量と自家消費量を記録できるかを、契約前に確認してください。我が家はそのデータが手元に無いので、1年9ヶ月経っても「節約になっているはず」から先に進めていません。
まとめ:「節約になると思います」は、12ヶ月の数字では確かめきれなかった
「つけたほうが生活費の節約になると思います」と言われて、150万円を払いました。
12ヶ月分を並べて、分かったことを整理します。
- 売電は年54,432円、電気代は年149,106円(EVの充電込み)
- 冬は電気をいちばん使う月に発電がいちばん落ち、1月の差し引きは6月の約7倍だった
- 保証10年で元を取るには月12,500円の効果が必要で、売電で確認できるのは36%だけ
- 残りの月8,000円が浮いているかは、測る手段がなくて分からない
- 補助金約50万円はEVの補助で、ソーラーの値引きではなかった
- 10年後、保証が切れて売電単価も変わるとき、ローンはまだ約119万円残る
もう一段だけ正直に書きます。
12ヶ月分を1枚の表にして、冬の3ヶ月がどれだけ収支を削っているかが、ようやく見えました。以前のこの記事には「夏は売電で相殺される」と書いていましたが、それは1年の半分だけの話でした。
そして、残りの月8,000円が浮いているかどうかは、今も分からないままです。
もし今、太陽光を付けるか迷っているなら、明日、見積もりに書かれた「年間の削減額」が、売電と自家消費に分けて書かれているかを見てください。分けて書かれていなければ、それを聞くところからです。
気になる方は、一括見積もりを活用してみてはいかがでしょうか?
太陽光発電・見積この記事のチェックリスト
- □ 見積もりの「削減額」が、売電と自家消費に分けて書かれているか確認した
- □ 保証期間で元を取るには、月いくらの効果が必要かを計算した
- □ 冬の月の電気代と売電を、夏とは別に見積もった
- □ 住宅用の固定価格買取が10年で終わることを確認した
- □ ローンに組み込む場合、保証が切れる時点の残債を計算した
- □ 補助金が「何に対して」出るのかを分けて確認した
- □ 発電量と自家消費量を記録できる仕組みがあるか確認した
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※本記事は個人の実体験に基づく情報提供を目的としています。設備の費用・電気料金・売電単価・補助金・会社の交通費支給条件などは、時期・地域・契約により大きく異なります。ローンの返済額は元利均等で計算した概算です。導入の際はご自身で最新の条件をご確認ください。


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